プロダクトマネージャであれば、担当製品のプロモーションも設計する必要があります。

プロモーション用のツールとして、製品ウェブページは顔ともいうべき存在ですが、単に事実を忠実に書いても人は製品を買いたくはならないので、いかに魅力的に思ってもらえるかを意識して作成するか、そのページで紹介している製品のことを知ってもらうために、いかに検索エンジンで上位検索されるようなページを作るか、そして、そのページを見た人が興味を持った時に次のアクションがとりやすい仕掛けがあるか、の観点でページを作りこむ必要があります。 デジタルマーケティングの担当者がいれば一緒にページを作りこんでいけくことができます。 それができればベストですが、そうでない場合にプロダクトマネージャとして、どうやって製品ページをつくっていけばより良いツールにできるのでしょうか。 ウェブでの製品紹介ページは最低限の手間で作成し、ほかのプロモーション方法に時間を割く、というのも1つの方法ではありますが、ここでは制限がある中で、どこまでのことができるのかについて考えていきます。

前提条件

私の会社では、よい製品ページを作りこむためのハードルはかなり高い状態です。状況としては

  • 自分の担当プロダクト以外ではデジタルマーケティングを必要としていない
  • ウェブ担当者は存在するが、デジタルマーケティングについては詳しくない
  • デジタルマーケティングに必要なツールは使えない(無料でもITの規制があり導入不可)
  • 担当製品は社内ではサイドビジネスに位置づけ
  • 会社は代理店制度をもっており、自社顧客に毎日のように出入りしている代理店の営業担当者がおり、商談も代理店経由で来ることが多い。

つまり、会社はウェブサイトが有効なビジネスのソースとして考えておらず、ウェブサイトやデジタルマーケティング、リソースに新たな投資は得られないということです。 この中で、どうやって担当製品を目立たせられるか、競合製品のユーザにも自社製品を知ってもらえるかを考える必要があります。

目標設定と結果の計測方法

プロダクトマネージャとして新製品のページを書くので「作成したページから質の良い商談が入ってくる」のが最終的な目的とすべきです。

問題はどうやってウェブページが商談の生成に役立っているのか結果がトラッキングできるかですが、会社でウェブ担当者に担当製品のページビュー数について確認すると、自社サイト内の各ページのビュー数は記録されていることがわかりました。 ですが、流入経路は調べられない、とのこと。 (一体どういうことなのかは確認しましたが、ここではおいておきます)

さらにはページの滞在時間や離脱率もすぐには確認できない状態とのことだったので、もう単純にページのビュー数が増えることで、問い合わせも増えるだろうという希望的な予測で、ページビュー数をとにかく増やすようにしてみます。

本当はページができて半年後くらいから定期的に見直しをして、リライト(書き直し)ができればよいのですが、ウェブ担当者から手間を増やすなという抵抗を受ける気がしますので、様子を見てやってみるかを判断しようと思います。

競合調査

まずは競合製品のウェブページを調べてみます。 競合全社を調べて対策できればそれに越したことはありませんが、自社の製品は自称業界3番手なので、上位2社について調べます。

ページの構造

どちらの会社も、

会社のトップページ→製品群のページ(2段階)→製品一覧ページ→製品ページ

の構造のもとに製品の紹介があります。

製品ページには製品概要、特長、仕様、製品紹介動画・画像、代表的なテクニカルデータが記載されていました。

検索キーワード

競合製品がどのようなキーワードで検索されているかは非常に重要な情報です。

検索キーワードを調べることでそのページに対する顧客のニーズが読み取れます。 製品を買いたい人が使うキーワード検索において競合よりも上位に表示される、少なくても同じページに表示されるようにすれば、少なくとも競合他社製品を買おうとしている人に自分の製品の存在に気付いてもらえることになります。

キーワードを1つ決めておいて、そのページ内にちりばめておく必要があります。

検索キーワードを探すために、有償・無償のツールが数多く存在しますが、会社の予算の問題とセキュリティポリシーによりツールは使わせてもらえなかったため、単純にGoogleの検索で競合製品のページの情報をとってみました。 これはGoogle検索から該当製品のサイトにジャンプして戻ってきたときに、たくさんのページ閲覧者がいれば、他の人の使用していた検索キーワードを参考として表示してくれるものです。 これなら何のインストールもいらないので、競合製品のサイトで使用されていた検索キーワードを確認してみます。

  • 業界トップメーカーの該当製品ページ
  • 業界2位の競合他社の該当製品ページ

見てみると、ほぼ製品の分類で検索されていることがわかります。 また、「価格」をつけて検索している人もそれなりに居るようです。

価格の検索をしている人は、買う気のある人のように思われます。

ちなみに、製品紹介ではなくその製品カテゴリの学習用ページだと、少し検索されているキーワードが違っています。

今回は勉強目的の方ではなく、購入目的の方にページを見てほしいので、「製品分類+システム」と「価格」をキーワードに設定してみます。

メタタグの確認

最後に競合の製品ページで使われているメタタグについて確認します。

メタタグは確認したいウェブページのソースを表示させるとHead部分に設定されており、簡単に確認可能なので、内容は自社ページの設定の際の参考にします。

確認しておくメタタグは

  • タイトル(title):検索をかけた時のページ名の表示
  • メタディスクリプション(meta description):検索をかけた時のページ名の下に現れるページの概要
  • 文字コード:日本語だとuft-8などが入力されます。
  • OGP(Open Graph Protocol):SNSに記事が投稿されたとき用の見た目の設定
  • ビューポート(meta viewport):スマホ向けの表示を設定
  • noindex・nofollow(robotsメタタグ):検索エンジンにかからないようにする設定(同じ記載のページが複数あると検索エンジンに認識されると、検索順位が下がってしまうため)
  • メタキーワード(meta keyword): 検索エンジンに引っ掛けてほしい検索キーワードの設定だったが、今はこの部分は検索エンジンにかからないようになっており、設定の意味は薄らいでいる

これらのメタタグを業界トップメーカーのサイトで確認したのが以下になります。

トップメーカーの社名や製品名が判別できるところは消していますが、一通りの設定がされていました。

ただ、幸いにも製品から容易に想像できる内容だったので、特に気にする必要はなさそうです。

自社サイトで商品ページを書いてみる

競合情報まで確認したら、いよいよ自分の製品のページを書いていきます。

会社のウェブサイトには統一されたフォーマットがあるので、それは踏襲する必要がありますが、幸いにも私の会社では本文に書き方の規定はありませんでしたので、内容は比較的自由に記載できました。

本文は検索キーワードを繰り返し(10回程度を今回の目標としました)盛り込むことを気にしつつも、製品の特長をテクニカルデータや図をつけながら、理解しやすく解説していきます。

いかにキーワードが優れていても、訪問者が理解できない・納得できない内容だったり、ページが読みにくかったりすると、次のアクション=商品の問い合わせに繋がらないだけでなく、情報提供のページとして検索エンジンからの高評価が受けられず、検索結果も上位にランクできなくなるので、日本語としての完成度も重要です。

文章が完成したら、折角ページを見て製品に興味を持ってくれた人が情報を忘れる前にコンタクトしてくれるよう、CTA(今回は問い合わせ先の情報とリンク)がわかりやすい場所にあるかを確認してアップロードします。

アップロード時にメタタグについても、他社の設定を参考に設定します。

最後に

もともとウェブサイトのアクセス数が多くなかったこともあり、この方法でも無事に目標としていたビュー数の増加は達成することができました。

やはり、ウェブサイトを強化したいのであれば、デジタルマーケティングに必要なツールは必要です。 有料のツールが難しければ無料のツールでで」も、どんどん使って分析をすすめたほうが的確な対応を効率的に探ることができます。 これからもデジタル施策の重要性を会社に働きかけ続けてはいきますが、ぜひできるだけ早い段階で必要なツールとそれを使いこなす人を揃えるようにしてもらってください。