プロダクトマネージャーとは担当する製品の開発から上市、サポート、ディスコンまでのライフサイクル全体を俯瞰してマネージメントする立場の人です。 開発時の要件定義や市場ニーズ、競合製品、旧製品の顧客の声など、すべての情報が集まってくるところでもあります。

商品をプロモーションするには、その商品のターゲット顧客が求めているものであることを訴求する必要がありますが、どこがマッチしているのか(逆にどこがマッチしていないのか)を最も多くの情報から判断できるのが、すべての情報が集約されてくるプロダクトマネージャーになります。

カタログの種類

カタログには様々なタイプのものがありますが、大きく分けると

①ある製品や製品群にフォーカスし、その製品(群の)情報がまとまって得られるもの

②取扱製品の品名や品番、価格などが一覧表になっているもの

などがありますが、 ここでは、①のカタログを中心にカタログの在り方、プロダクトマネージャ視点での作成手順について説明します。

プロダクトマネージャが作るべきカタログ

B2Bビジネスでプロダクトマネージャがより嚙みこむべきは①のカタログです。 カタログの担当者に丸投げ(または業者に丸投げ)で最高のものができてくれば、いうことなしですが、カタログの担当者は詳細な製品の情報は持っていないのが普通です。 また、プロモーションを担う営業担当者や広報の人たちは、渡していると思っている新製品の情報が最新でないかもしれません。新製品のプロモーションを開始する時にはは販促の一番最初に位置付けてカタログ作成に自ら着手し、社内関係者に担当製品のすばらしさについて要点を絞って伝えましょう。 ここで部下に任せてしまう、というのをやりがちになるのですが、プロダクトなメージャーの部下になる人はプロダクトマネージャー本人よりも持っている情報が偏っていることが普通なので、注意が必要です。

逆に②のカタログは、①のカタログがきちんと準備されていれば、他の方が情報を抜粋できますので、プロダクトマネージャとしては記載内容の確認をする程度でもなんとかできることも多いので、①にフォーカスしましょう。

使用される場面を考える

カタログが使用される場面はどのような場面になるのでしょうか。

誰がいつ使うのかを想像して、その場面に必要な情報を入れ込みます。

購入意思決定プロセス(AIDMA)モデルとB2Bビジネスで有効な販促活動

カタログは基本的には商品の購入に至るまでの顧客の行動に沿って、商品に対する興味を深めてもらい、商品を欲しいと思ってもらうあたりの段階で使うことを想定すると、プロダクトマネージャが作るべき、使いやすいカタログになると思います。 上の図は物凄く単純に顧客の購買行動をモデル化したAIDMAに当てはめていますが、会社によってもっと複雑なマーケティングファネルやカスターマージャーニーマップを作りこんでいれば、自社のモデルに合わせて考えてください。購買に至る行動の中で、カタログが使用される場面が1つではない場合には、最もよく使用される場面を中心に、その他の場面で必ず使用する情報もリストアップします。

例えば、先ほどの官公庁での予算申請は金額の大きい物品・サービスでは前年度に行われますが、Interestの段階でしてしまう場合と、Desireの段階でされる場合があります。 その後の入札の段階では、決まりとしてカタログの添付が必要となっており、仕様が記載されている必要があるので、仕様のページを抜くわけにはいきません。

しかし、何にでも使えるようなカタログ、というように作ると、結局ページ数が多くなりすぎて読んでもらえない、訴求力がなくて使われないカタログになりますので、必ず事前に場面設定を絞るようにします。

おそらくカタログを一番使用するのは営業の方だと思います。 どのような場面でカタログを使っているかについては、ぜひとも聞いておきたいところです。 ただ、「どんなカタログが良いか」と聞いてしまうと、「1冊ですべての場面に使えるカタログ」と言われる可能性があります。 いろいろ使い分けるのは面倒ですし、そもそも商談先まで持っていって、その場で使ったカタログを顧客にお渡しして帰るという前提だと、何冊か持って歩くので重たくしたくはないというのが、先に出てしまいます。

ページ数・サイズを決める

カタログを使用する場面のイメージができたら、実際の作成に入ります。まず、カタログのページ数を決めましょう。

ページ数は2、または4の倍数にします。 これは紙に印刷して読まれることを想定していますが、仮にPDFでお渡しするカタログあっても、印刷もされる可能性がありますので、4の倍数であることは守っておくべきです。

次はサイズを考えます。 いろいろなサイズが考えられますが、B2Bビジネスで使うカタログではA4あるいはB5、A5サイズが無難です。

変形サイズのカタログ、中折りのカタログは通常よりコスト増になりますが、最近のB2Bビジネスでは、PDFでカタログをやり取りすることが増えているので、せっかく作っても見づらくなるだけで、目立つ・広い面を使ってで商品の説明ができるなどのメリットは活かせません。

また、短辺で閉じるように設計すると、他の書類と一緒にファイリングしにくくなるので、普通に縦型長編開きにしておくべきです。

また、ページ数は最終デザインや印刷のコストに関わりますので、予算との兼ね合いも重要になります。

カタログ担当者や制作会社、予算執行部門(営業部門やマーケティング部門など)とこの段階で相談します。 

カタログは発行部数であまり費用は変わらない。

制作費用の部分はページ数によって変わってきますが、何部発行しても基本的には同じ金額が必要になります。

最近CMなどで目にするオンライン印刷では、制作費用のところを内製する前提なので、多くの場合紙の種類や印刷部数のみでコストが決まります。

各ページに載せるべき情報を割り振る

ページ数、印刷サイズが決まったら、各ページに掲載する情報を割り振ります。

ここで気を付けることは

  • 表紙は何のカタログかわかるように、製品名や写真を入れる
  • 製品の「売り」や特に言いたいことを前のほうのページに
  • 連絡先は必ずいれる

です。

例えば、4ページのカタログだったら、

  • 1ページ目:製品名称・写真
  • 2ページ目:製品の特長で最も目立たせたいこと
  • 3ページ目:その他の製品の特長、ユーザーボイスなど
  • 4ページ目:仕様、会社名・連絡先

というように各ページのテーマを決めます。

ここで、テーマが決まったら、どこにどんな情報を書くか、どんな図表を使いたいかもイメージし、ざっくりと紙に書き出します。 会社指定のテンプレートがあれば、ロゴなどの基本的な配置やフォントサイズ、余白などが決まってきますので、そのテンプレートも加味しておきます。

この時、いきなり制作ツールに書きだすとどんどん細かく作りこんでしまい、後に戻りにくくなるので、まずは紙で始めることをお勧めします。

言葉を入れる

情報を割り振ったら実際に言葉を入れていきます。

私はこの作業を終えるまで紙に書き込んでいるのですが、この段階から制作ツールを使っても良いかもしれません。

カタログはページ数が限られており、みやすさが重要です。

  • 取り上げる項目はできる限り絞る。
  • できるだけ図や写真を使って説明する
  • 同じことを別の場所で繰り返し説明しないようにする。
  • 箇条書き、体言止めなどを活用して、文章が長くならないようにする。

日本人はレストランのフードサンプルや写真付きメニューにあるようにビジュアルで理解することが好きです。文字だらけにしないように注意してください。

清書してみる

言葉が入れられたら、制作ツールでイメージする文字サイズや場所などに文言や図表を入れてみます。

予想していたよりごちゃごちゃしていると思います。 重要度の低い項目そのものや無駄な日本語の言い回し(「~できる可能性が示唆」→「~が可能」)を削り、図もできるだけすっきりさせます。

最終デザインはプロにお任せする

記載しておくべき内容や、伝えたいことはプロダクトマネージャが一言一句確認する必要がありますが、最終的な字体の選択や図の清書、それぞれの配置などはカタログの担当者や制作会社に決めてもらいます。

他のカタログとテイストを合わせておいてもらえると、統一感も残せます。

お願いするところがなく、いきなりネット印刷に出すような場合は、この部分も自分ですることになりますが、自分でもプリンタで印刷してみてデザインを確認する

おまけ:カタログ製作で使うことになった専門用語

カタログを作成していくと、制作の専門家との打ち合わせが発生します。 編集用語は全国共通のようですので、何のことかわかっていたほうが何かと便利です。

  • 表紙周りの呼び方

冊子の表紙周りを「表1」「表2」「表3」「表4」と呼びます。

冊子・書籍の表紙まわりの表現方法
  • 何回やり取りしているか

原稿のバージョンは「初稿」「初校」「2校(再校)」・・・と呼びます。 初稿はすでに自分サイドではやり切った後での原稿になるのですが、初稿をお渡しすると配置の調整や図表の清書などがされて初校として戻ってきます。

4校以上になると、やり取りが面倒なだけではなくスケジュール自体も遅れていく可能性があるので、後から後から修正を出さないように初稿を渡す前にしっかり内容を固めましょう。

  • 原稿が完成したら

原稿が完成することを「校了」と呼びます。 校了直前の校正で本当に軽微な修正だと、もうこっちのチェックはいいよ、という場合が出てきます。 この場合「責了」とお伝えしておけば、先方で最終修正をして校了とできます。 また、最後の最後にもう1回見ておきたい、という場合には「念校」をお願いしましょう。 念校は念のための校正のやり取りの意味なので、ここで大幅な変更をすることはルール違反のようです。

最後に

作成したカタログは、営業担当者など実際に想定していた使用場面で使う人に見てもらい、使いやすさを確認してもらって完成です。 使っているうちに気づいた現場の声は、記録しておいて、次の改定に備えましょう。

うちはカタログを作りません、ウェブのみで対応していますという会社もあるかもしれません。 その場合でも営業の現場では何らかの資料を使って、説明をしています。

勿論、ウェブサイトもカタログと並んでプロモーションの基本になる超重要コンテンツなので、そちらもプロダクトマネージャが関与する必要があるのは言うまでもありません。