本稿では、採用面接の場に同席する職場(職種)面接官が応募者の何を見ているか(何を確認したいか)について紹介します。ここでの職場とは、商品開発(装置やソフトウェア)の現場です。そこの管理責任者兼エンジニア(転職経験あり)として、書類選考を突破した応募者の何を確認したく面接に臨んでいるかを示します。面接に先立ち書類選考にも参加しますがそこでは分からないことを確認します。
もっとも、書類や数10分間の面接だけで、応募者の能力や人柄を推し量ることは困難ですし、実際のところは入社して働いてみてもらわないとわからないのですが、「あぁ、これは後で困ることになるなぁ」というのは先に見つけたいわけです。
以下に、いくつかポイントを示しますが、これらがすべてを満たす必要があるということではありません。

欲しい人材スキルとのマッチング
これは当然ですね。応募書類からだいたい把握しているわけですが、コミュニケーション能力を測る目的のためにも、書いてあるスキルについて全部ではありませんが、かじっただけなのか、人に説明できるレベルなのか、知識や経験の深さを会話を通じて確認します。論理的な説明ができるかも確認できます。

応募者の希望とのマッチング
応募者側も、自分の期待したことが実現できそうか、当社は馴染めそうな社風なり組織風土かどうか、商品開発の進め方は自分に合っていそうか判断しなければなりませんので、聞かれなくてもこちらから説明します。ミスマッチがあるとお互い不幸になるのでここはお互いにとても大事と思います。説明後、イメージどおりかどうか聞くために感想を聞きます。

転職の動機は何か、思い通りに行かないときに踏ん張れるエネルギーがありそうかどうか
転職しようという人ですから、現況に不満があって当然です。ここが気に入らない、あれが不満だ、本当はこんなことがやりたいと正直に喋ってもらうのは歓迎します。で、それを打破するために、実現するために、普段、職場あるいは自宅で、平日・休日どう過ごしているのか、この1年で何を身につけたのか、不満をどう燃やしているのかを聞きます。エネルギーを確認しているのです。転職したり環境が変わったところで、気に入らないことやうまく行かないことは日常茶飯事です。なんとかしようとするエネルギーがあるかどうかを確認しているのです。ただ、不満の内容によっては入社いただいても解決しない可能性があります。つまり、また転職してしまうパターンです。ですので、転職することによって応募者の不満が解消し、目的が達成できそうなのかどうか慎重に検討します。

いっしょに働きたいかどうか
上司の立場、同僚の立場、部下や後輩の立場で、働くシーンを想像しながら、質疑を通じて応募者のキャラクターを確認しましす。人間ですから、ややこしそうだなとか、年下にキツそうだなとか、文句が多くて行動力無い人とはいっしょに働きたくないですよね。

学習能力があるかどうか
失敗談を聞きます。そしてそこから何が得られたかを聞きます。ここで応募者の仕事に対する姿勢、学習能力を垣間見ることができます。回答を準備していても、少し深掘りして質問していくと、どんな態度で困難を突破したのか、やり過ごしただけなのか興味深い反応が見られます。

問題に気づく人か、問題を見過ごさずに解決していく人か                       仕事をしていると、面倒だな・非効率だな、他にやり方が無いか、毎年やってるけどそもそも何でこれをやってるのか分からないと感じることとか、大小様々にあると思います。ぼーっと言われたことだけやって過ごしていると、あるいは真面目な人ほど問題を問題だと気づかないことがあります。そして、たとえ気づいたとしても、よし解決したろうと動くのを面倒に思ってしまいがちです。職場で活躍している人を思い浮かべると、問題に気づき、課題を設定し、アイデアを出して、解決に向けて動き始める、そんな人ではありませんか。できればそんな方に入っていただきたいのですが、なかなか面接で見抜くのは難しいです。ですが、些細なことでも良いので、改善工夫したエピソードが無いか聞きます。

新しい風を吹き込んでくれそうか、良い刺激を与えてくれそうか
いっしょに働きたいかどうかを重視して判断していると、どうしてもチームや組織が同質化してしまい、チームや組織の成長が制限されます。従って、「あぁ、こういう考え方・捉え方する人はうちにいないなぁ」とか、「こんなアピールの強いキャラはうちにはいないな」とか、そういった応募者にあたったときにはとてもワクワクします。チームや組織の風土をより良くしてくれそうだと判断した場合は、採用するよう人事部に強く推します。

現職場における役割、働く姿勢
採用する側としては、現在所属しているところで周囲から認められ活躍している人に来て欲しいので、所属チームの規模や編成、その中における応募者の役割や業務内容、本人がやっていること、外注含めて他人にやってもらっていることを確認します。また、自分が関わっている商品やサービスについて、競合品または自社の先行品と比較しどこが優れているか、本人が改善したことは何かを確認します。もちろん他人に言って差し支えない範囲でしゃべってもらうわけですが、前向きに仕事に取り組んでいなければ、ここへの回答に窮する人がいます。

入社後の活躍や成長をイメージできるかどうか
年齢を経験を考慮して自社でのポジションを決定するのですが、その後、何年くらいでどんな仕事をどんな役割でしていそうか、想像を膨らませます。これまでの経験を活かすことに重きを置いて新しい経験を足していくこと、知識の範囲を広げることに抵抗がありそだなとか、後輩へのあたりはどうだろうか、他部署の人との折衝や連携はできそうかとか、粘り強そうかとか想像しながら会話を通じて判断していきます。
フットワークが軽すぎる、見切りをつけるのが速そうな人は、定着せずにすぐに転職すると考えらえるため、たとえ優秀そうでも採用を躊躇します。